SEASON2

STORY #7

#7 RACE

開幕

  • 栗早家鷹
  • 凪庵

8月。

ついに地区大会が開幕した。

地区大会には該当地区4校が集結し、上位2校が全国大会に進む。

本地区大会には海月女子学園、東川高校、追川高校、鮒田女子高校の4校が集う。

そもそも、ボートレースができる水面を所有する学校が全国的に少ないため、各地区から2校ずつ全国大会に進出できるようになっているのだ。

「うわぁ。すごーい!関東地区のボートレース部全部そろってるよぉ」

「ここからが本番なのです!」

「私、ワクワクするよ!昨日、全然眠れなかった!」

会場に着くなり、はしゃぐこむぎ。

「俺は受け付け済ませてくるから、お前ら準備しとけよ」

そういうと風守は、怠そうに受付に向かう。

地区大会は、全国大会と同様のルールで行われ、1着から6着まで定められた得点があり、学校単位でその合計点を競うことになる。

獲得した合計点が最も多かった学校が優勝となる。

ちなみに日程は二日間。

予選は1着10点、2着9点、3着7点、4着6点、5着5点、6着4点となっていた。

1日目の午後に予選を行い、2日目の午前中に準優勝戦、午後に優勝戦が行われる。

「いや~今年も来たね~。去年のようにはいかないぞ~」

「そうだな。去年は、予選を突破できなかったからな。今年こそは…」

昨年の結果を思い出し、とあとふたばはいつになく真剣だ。昨年、海月女子学園はとあが個人技能賞をもらったが、学校単位でいえば最下位だった。

「そうだ!みんなで円陣を組みましょうよ!」

こむぎの提案にけやき以外の5人が円形に並ぶ。

「けやきさん?」

円のそばで、少しもじもじしたけやきにいこのが呼びかけた。

「わ、私はいい…。恥ずかしい…。」

けやきは、頬を少し赤く染め、小さな声でやんわりと拒否の意思を伝えようとする。

「そんなこと言わないで、けやきちゃん早く!」

「そうだぞ、けやき!」

「優勝にはけやきさんの力が必要不可欠なのです!」

「けやき、諦めろ。お前はもう海月女子学園ボートレース部の一員なんだ」

全員に促されしぶしぶ円に加わるけやき。

「いこの先輩!」

けやきが、円に加わったことを微笑みながら見つめていたいこのにこむぎが声をかける。

「はいっ!?」

けやきの様子を見守っていたいこのは、驚きながら裏返った声をあげた。

「いこの、こういう時は、部長から何か言うものだろ」

「部長~しっかりしてくれよな」

「そ、そうですね。すみません」

恥ずかしそうに答えるいこの。

「それでは…皆さん、私達には優勝の他に選ぶ道がありません!全力を尽くしましょう!」

全員が肩を組んで円陣を作る。

「絶対優勝するぞー!」

「オー!」

*************

「お前ら、このクソ暑いのによくやるな。」

ボートレース部が気合を入れていると、円陣の真ん中に水を差すようなセリフが放り込まれた。

「先生…酷いのです」

受付を済ませ戻ってきた風守に頬を膨らませながら文句をいうナツ。

「俺はこういう人が集まってわちゃわちゃしてるところが嫌いなんだよ」

「うっわ…スゲー陰キャ発言…」

ふたばが風守に白い眼を向ける。

「ていうか、先生すごく怪しいですよ。そのカッコ…」

とあは、風守の姿に顔をしかめながら指摘した。

「よれよれのYシャツに首から一眼レフカメラとか…なんか怖い」

こむぎも風守の身なりに引きながら問いかける。

「俺だってカメラなんか持って歩きたくねえよ。伊坂先生から学校のホームページやSNSに各部活動の大会出場記事を掲載しろって言われてんの。それにウチの部は最後の大会になるわけだし、我がボートレース部最後の雄姿を収めてあげようってわけ」

「なんで、廃部前提なのですか!」

ナツがさらに頬を膨らませながら噛みついた。

「俺も顧問になって仕事増えちゃって大変なのよ。立花先生も部の動向気にしてるし、報告上げろってうるさくてさ。まあ、俺の願望を込めた言葉の綾だからさ。気にすんな」

「また心にもないことを…」

その様子を後方で見つめていたけやきが呟く。

「まあまあ、皆さん、優勝して先生のお仕事を増やしてあげましょう!」

いこのが、その場を収め、改めて大会の優勝に向けて気合を入れる。

「じゃ、最後に顧問として先生から」

形式的に風守にバトンタッチをしたいこのではあるが…。

「俺から?…ない」

あっさりとバトンを手放す風守に一同はあっけにとられる。

「普通、顧問から部員に向けて訓示とかあると思うのですが…」

とあは呆れながらも突っ込みを入れた。

「あ~…ケガすんなよ。そんじゃ行ってみよ~。これでいい?」

「とあちゃん、この先生に普通を求めちゃだめだよ…」

「そうだったな…こむぎ」

こむぎととあは頭を抱えながら自らの行いに後悔する。

「とにかく、大会での主人公はお前たちでしょ。脇役の俺がどうこう言う立場じゃないの。これまでのお話でも悪目立ちしてるしな」

「なんの話ですか?」

不思議そうな顔でいこのが問いかける。

「こっちの話。受付も済んだし、お前ら早くピット行けよ。俺は女子高生の写真撮影で忙しいんだから」

「言い方が気持ち悪い…」

けやきは、軽蔑の眼差しを向けながら体には不釣り合いなカバンを持ち上げ、ピットに向かう準備を整える。

「変人で女子高生の写真撮影も趣味とかホント引くな~」

「先生、捕まらないでね」

「顧問が逮捕されて試合前に廃部とかごめんなのです」

「風守先生、ホントに気を付けてくださいね」

「それでは、行ってまいります。先生、盗撮は犯罪ですよ」

けやきに続いて部員全員がピットに向かいながら風守に辛辣な言葉を吐き捨てていく。

「お前ら、俺を何だと思ってるわけ?」

そう言いつつ風守はピットに向かう6人の背中を写真に収めていた。

*************

ピットに入った6人は、ボート・モーターの抽選を済ませ、整備に取り掛かる。

15時には予選が始まるので、そうそうゆっくりはしていられないのだ。

そこへ、東川高校のエース、彩峰はづきが近づいてきた。

「あんた達、今日は前の練習試合の時のようにはいかないわよ。私を含め、みんな1軍の選手なんだから」

彩峰に気づいたいこのが、整備の手を止める。

「彩峰さん、お疲れ様です。私達も練習試合の時とは違いますわ。お互い頑張りましょう」

「ふ~ん…じゃあ、レースでそれを見せてもらおうじゃない。これで変わってなかったらお笑いね」

「どうぞ、ご期待ください。彩峰さん」

彩峰といこのが舌戦を繰り広げている傍ら、他の5人は固唾を飲みながらヒソヒソ声で話していた。

「いこのの奴、彩峰が絡むと人が変わるよな」

「練習試合で火が付いたみたいだからな。ああ見えて、いこのは負けず嫌いなんだ」

「いこの先輩、怖いのです…」

「でも、ライバルがいることは良いこと」

「そうだよね、けやきちゃん!私もライバルが欲しいなぁ」

羨望の眼差しをいこのと彩峰に向けうっとりしているこむぎにとあが、釘を差す。

「こむぎ、私たちは眼中にないっていうわけか?じゃあ、これからは私たちのアドバイスはいらないな。」

見捨てられては困ると慌ててこむぎが引き留める。

「ちっ違うよ!とあちゃん!そんなつもりじゃないってばぁ!」

「さあ、どうするかなぁ」

意地悪な笑みを浮かべるとあ。

「とあちゃん、意地悪しないでよ~」

それぞれが緊張を誤魔化すためか、いつも以上にじゃれ合いながら整備は進んでいった。

*************

15時。本日、最初のレースが始まる。

予選は全部で4レース。1~2レースは1年生のみで番組が組まれ、3~4レースは2年生以上の生徒で番組が組まれる。

海月女子学園は1レース6号艇にこむぎ、2レース1号艇にけやき、同じく6号艇にナツ、3レース1号艇にとあ、3号艇にふたば、4レース2号艇にいこのと決まった。

1レースに出場する6人が乗艇した。

1・4号艇、東川高校、2号艇、追川高校、3・5号艇、鮒田女子高校、6号艇海月女子学園こむぎ。

6艇が一斉にピットアウトし、枠番通りにコースに並んだ。

こむぎは、6コースでアクセルレバーを握るタイミングを待ちながら、複雑な心境に陥っていた。

初めての公式試合に出場した喜びと部活の存続がかかった大会のプレッシャーによるものだ。

今はプレッシャーの方が、重く肩にのしかかっている。その証拠にこむぎは、体が妙にこわばっているのを感じていた。背中にも嫌な汗をかいている。

「あ~、どうしよう…。何か体が重いよ…」

背中を伝う汗の感覚に全身が支配され始めた時、隣の5号艇がスタートに備えて動き出した。

「やばっ!遅れちゃう!」

隣の5号艇の動きに焦りながらもアクセルレバーに力を籠めるこむぎ。

「こむぎの奴、何やってるんだ!」

ピットで観戦していたとあ達にも緊張が走る。

「まさか、出遅れにならないだろうな」

ふたばも顔が引きつる。

「ギリギリ大丈夫」

二人とは対照的にけやきは、水面を見つめながら冷静に答える。

こむぎは何とか立て直し、スタート正常。とは言え、こむぎは他艇よりも遅れ気味だ。6艇は1マークに差し掛かる。

6艇は1マークに差し掛かる。

こむぎ以外の5艇にやや遅れたことで、5艇分の引き波がこむぎに降りかかる。

こむぎは、とっさに引き波に乗らないよう艇を大きく旋回させ捲りにかかる。

1マークを旋回しきった時、東川高校の1号艇と4号艇は他艇より1艇身ほど差をつけていた。

向こう正面の直線でほぼ順位は決まった。

1位東川高校、2位鮒田女子高校、3位東川高校、4位追川高校、5位に5号艇の鮒田女子高校、6位がこむぎ。

5位の鮒田女子高校と6位のこむぎとの差は僅差。

「大失敗だよ~!でも、絶対ビリは嫌!」

こむぎは、アクセル全開で直線を走り抜ける。

5号艇にボートをぶつけながら、競り合いつつ2マークに差し掛かる。

ボートをぶつけられた5号艇の選手は、やや動揺したためか2マークの旋回を失敗し、こむぎは上手く捲りを決めることができた。

「やった!」

2マークを旋回し最下位を免れたこむぎは、先行する4艇に追いつこうとする。しかし、現実はそう簡単にはいかず、そのままの順位で1レースを終えた。

1着東川高校、2着鮒田女子高校、3着東川高校、4着追川高校、5着こむぎ、6着鮒田女子高校。

「みんな~ごめーん…」

肩を落とし、ピットに戻ったこむぎは、開口一番謝罪の言を述べる。

「気にするな。こむぎ。まだ始まったばかりだ」

「そうですよ。こむぎさん。挽回は可能です。」

周囲の優しい言葉には感謝しつつも、自分に責任がある時の優しい言葉は、傷口に塩をぬる感覚も覚える。

そんなやり取りをしていると、あっという間に2レースが始まった。

2レースも枠番通り。

1レースのこむぎと同じ6コースからスタートするナツは、こむぎの結果にプレッシャーを感じつつスタートを待っていた。

「こむぎさんのためにも負けられないのです…」

対するけやきはヘルメットの下で特に表情も変えず、1コースでスタートを待っている。

大時計の針の動きに合わせて外枠からボートが動き出す。

それに少し遅れて内枠の選手も加速。

スタート正常。ナツはこむぎのレースでの失敗を見ていたためか、まずまずのスタートを切ることができた。

1マークに差し掛かり、全艇全速ターンを決める。

1コースのけやきは、すんなりと1マークを抜け、簡単に1位に躍り出た。

対するナツは、6コースから捲りを狙っていたが、他艇の引き波にやられ、直線で3コースからスタートした東川高校と3位争いを始めていた。

「なんとか3位には入るのです!」

しかし、2マークに入ると内側にいた東川高校がナツよりも上手くターンを決め、3位争いにも決着が付いてしまった。

そのまま順位が決まり2レースも終了。

1着けやき、2着追川高校、3着東川高校、4着ナツ、5着追川高校、6着鮒田女子高校。

ピットに戻ったけやきとナツにふたばが声をかける。

「ナツ~、惜しかったなぁ。けやきは相変わらず凄いぞ~」

「せめて3着には入りたかったのです…」

「でも、まだ予選だから油断できない」

「おい!ふたば!そろそろ行くぞ!」

ふたばが、けやきとナツと戯れていると、とあが桟橋から呼びかけた。

「あれ!?もう出番か!」

「自分の出るレースくらい覚えておけ」

「にゃはは~、あんまり怒ると転覆するぞ~とあ~」

桟橋のとあに追いつくなり軽口を叩くふたば。

「ふたばはホント呑気だな。まあ、お陰で緊張は解れたが」

「ちゃんと計算してるんだぞ~」

軽口を叩きながらとあとふたばの2人は、乗艇しエンジンを始動させる。

3レースも枠番通り。1コース1号艇にとあ、3コース3号艇にふたば、2コース2号艇には東川高校が陣取っている。

全艇スタート正常。ほぼ横並びでスタートした。

全艇1マークを全速ターン。

向こう正面の直線で、1~3号艇で順位争いが始まった。

残りの3艇とは後方1~2艇身の差が生まれていた。

そして、2マークに差し掛かる直前で先頭集団のとあの1号艇が少しリードし始めた。とあの隣にいた東川高校の2号艇はやや勢いを無くす。

そのさらに外側にいた3号艇のふたばが追い上げ、2号艇をとあと挟み込むような体制になる。

とあとふたばの気迫に気圧されたのか2号艇は2マークのターンで失速し、1位2位争いは、とあとふたば2人だけの戦いになっていた。

「東川高校も彩峰がいないとこんなもんか~。大したことないな~」

「ふたば!どっちが勝っても高得点は入るが、私は2位になる気はないぞ!」

「んにゃ!?それは、あたしも同じだ!この前の借りを返してやる!」

首位争いを続けながら2周目1マークに入る2人。

インコースギリギリで丁寧なターンを決めたとあに軍配が上がり、そのまま3レースは終了した。

1着とあ、2着ふたば、3着東川高校、4着鮒田女子高校、5・6着追川高校。

「あ~あ、また負けた~」

「ふたばは、ターンが雑すぎるんだ」

「えぇ~、やっぱ全速でババっとカッコよくターン決めたいじゃん」

「カッコよくって…。そういうのは基本が出来てからじゃないのか?」

「とあは堅いなぁ。そんなんじゃ、もてないぞ~?」

「う、うるさい!今関係ないだろ!」

2人はいつもの談笑を交わしながら戻ってきた。

大会経験者だけあって、リラックスしながらレースに臨めているようだ。

さて、本日最終レースに臨むいこのはというと…。

「な…なんか、いこの先輩、目つきが…」

「いつものいこの先輩じゃないのです…」

「い…いこの?大丈夫?」

1年組が近づきがたいオーラを放ついこのに怯えながら声をかけた。

「あら?けやきさん。大丈夫ですよ。私はいつもどおり。彩峰さんには、負けませんわ。絶対に…絶対にね!」

「あ…うん…頑張って…」

いこのの気迫に押され、今は触れない方がよいと悟るけやき。

女子って怒るとホントに怖いよね…。

そうこうしていると、本日最終レースが始まった。

枠番が崩れることなく、1号艇彩峰はづき、2号艇いこの、3・5号艇に鮒田女子高校、4号艇追川高校、6号艇にもう一人東川高校の生徒が並んだ。

ヘルメット越しに睨み合ういこのとはづき。

もはや、他の選手のことなど眼中にないようだ。

お互いに言葉を交わすことなく、アクセルレバーに力を籠め、ボートを加速させる。

スタート正常。

1号艇と2号艇が他艇より頭一つ抜き出てスタートを決める。

1マークで先頭の2艇は全速ターン。

旋回の最中に彩峰といこののボートが接触し、2号艇のいこのがやや外側に押し出される形で、旋回を終える。

押し出されたことで彩峰のボートの引き波に乗り上げたいこののボートは失速。

いこのも負けじとアクセルレバーを握りこむが、彩峰のボートはいこのの前に躍り出て、容赦なく引き波をいこのに浴びせかける。

「くぅっ!これじゃぁ…」

なんとか、体制を立て直し、向こう正面の直線で彩峰の航跡を外側に避け、アクセル全開で駆け抜ける。

しかし、すでに1艇身半の差がつき、2マークを旋回し終わるころには2艇身ほど差が開いていた。

後続艇に追いつかれる心配はなさそうだが、いこのが彩峰を捉えるのは、ほぼ不可能に近かった。

そのままの4レースの雌雄は決した。

1着東川高校彩峰はづき、2着いこの、3着東川高校、4着鮒田女子高校、5着追川高校、6着鮒田女子高校。

ピットに戻ったいこのに彩峰が近づいてきた。

「あんた、私に引き波を利用させるなんてやるようになったじゃない。それに現状、学校ごとの点数じゃ、あんたたちがトップだし」

「前とは違うとお伝えしましたわ。私、約束は守りますもの」

「ふん!でも、あたし達からすれば、予選なんてウォーミングアップみたいなものだし、明日はこんな簡単にいくと思わない方がいいよ」

「それは、こちらも同じです。今日は私が負けましたが、明日も油断なさらない方がいいですよ、彩峰さん」

いこのの返しに、べーッと舌をだし、去っていく彩峰。

いこのも負けじと彩峰の後ろ姿にあっかんべーをかます。

その様子を離れたところで見ていた5人。

「いこのの奴、完全に彩峰を敵視しだしたな」

「ああなったいこのは手が付けられないんだよな~」

「いこのが遠くに行っちゃった気がする…」

けやきは、これまで見たことがないいこのの一面に少し怯えながら呟いた。

「あーあ、学校としてはトップだけど、私が一番成績悪いじゃーん」

「こむぎさんは緊張しすぎなのです。もっとリラックスしないと」

「ナッちゃん、そうはいうけどさぁ…。廃部がかかってるとなると緊張しちゃうよぉ」

「こむぎさん、いつも言ってるじゃないですか。ボートは楽しまないとって」

「うーん。そうだよね~。明日は、頑張ってみるよ」

大会1日目が終了し、下馬評を破ってトップとなった海月女子学園。

海月女子学園にとって気の抜けない戦いが、明日も続く。

*************

「へぇ~。あいつら意外とやるじゃん。まさかトップで一日目を終えるとはね」

少し離れた場所で海月女子学園の部員の写真を撮りながら風守は呟いた。

そこへ警備員がやってくる。

「君、何やってんの?」

「え?俺は部の活動記録を…」

「ちゃんと許可もらってるの?撮影許可の腕章してないでしょ」

「腕章?ナンスか、それ?」

「受付で撮影許可の腕章もらわないと撮影できない決まりなの。他の人、みんなつけてるでしょうが」

「あ、そうなんですか。すんません。俺、海月女子学園の顧問です」

「本当だろうな?念のため、身分証明書見せて!」

風守に対する職質が始まり、地区大会一日目は幕を閉じた。

開幕

STORY

小説家

栗早家鷹

代表作

???

ILLUSTRATION

イラストレーター

凪庵

凪庵

代表作

『僕の部屋がダンジョンの休憩所になってしまった件 放課後の異世界冒険部』
WEBコミックガンマ+(竹書房)にて連載中
『待機列ガール』サイコミ(講談社)全6巻
『新しい 彼女がフラグをおられたら』月刊少年シリウス(講談社)全4巻
『彼女がフラグをおられたら』月刊少年シリウス(講談社)全10巻